ラスヴェガス物語―「マフィアの街」から「究極のリゾート」へ (PHP新書)



ラスヴェガス物語―「マフィアの街」から「究極のリゾート」へ (PHP新書)
ラスヴェガス物語―「マフィアの街」から「究極のリゾート」へ (PHP新書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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ラスベガスに関する概説書

ラスベガス誕生から、マフィア支配を経て、現在のレジャーシティに至るまでの歴史を解説している。
禁酒法という極めてピューリタン的発想に基づく施策がマフィアが繁茂する苗床になったというのは、一見皮肉に見えるが、必要悪を無理に規制したことによる必然的な流れであったのだろう。麻薬解禁論が唱えられるのもこうした歴史的背景に基づくのかなと思った。
ガイドブックだけではわからない街の背景を知ることができるので、ラスベガスに行く予定がある人は一読の価値があると思う。

歴史は流れていく

 今日、日々変遷されていく中でもラスベガスの変わりようは他の世界の観光地でも類のないほどの速さではないしょうか。
 この本を読んでラスベガスに行ってみたらその歴史のかわりようを肌で感じられることでしょう。
 是非また続編を読んでみたい。そして、またラスベガスへ……
ラスベガスへ行く人への教科書みたいな本だと言えると思います。
新しい合理性

3人のラスベガスの立役者について書かれている本です。その中でも白眉はやはりスティーブ・ウィンについての章でしょう。とくにシザーズパレスとミラージュホテルの導線の違いについての言及の部分が最も重要なのではないでしょうか。それまでのラスベガスがアダム・スミス=マンデヴィル的な『私益が公益に結びつく』すなわち各カジノホテルがそれぞれ最大収益を目指して独自のプロモーションや顧客誘致に腐心していたのに対して、スティーブ・ウィンはそこから1歩抜き出てさらに効率的なプロモーションを目論みました。それは一見すると利他主義的な行為に見えなくもないのですが、厳密に言うとフォン・ノイマン=ナッシュ的な『ゲーム理論』の応用なのです。スティーブ・ウィンにとっての最適解は結果としてラスベガスに繁栄をもたらし、誰の目にも明らかな成功例を作り出したことで、新規参入や新しいビジネスモデルを呼び込むことができました。スティーブ・ウィンの行為に高貴さや自己献身的な『美徳』を見出すべきではありません。かといって彼を利己的であると非難するのも間違っています。彼が証明したのは手段はどうであれ『私益が公益に結びつく』ということなのです。
知られざるラスヴェガスと谷岡一郎氏の凄さ

 まず本書の筆者、谷岡一郎(1956〜)は日本におけるギャンブル学(ギャンブル社会学)の権威である。(もっと"上品″に言うと、「犯罪学」とか「社会調査方法論」などとなるらしい) 大阪商科大学の学長でもあり、2003年2月には「ギャンブリング・ゲーミング学会」という異色の学会を立ち上げた。谷岡はカジノ合法化を強く支持している。

 さて、本書『ラスヴェガス物語 「マフィアの街」から「究極のリゾート」へ』 だが、本書は言わずと知れたギャンブルのメッカ、アメリカのネバダ州・ラスヴェガスの知られざる一面を見事に描いている。

 本書では、特に現在のラスヴェガスを語る上で欠かすことができない、3人の人物に特に焦点があてられる。先述の、マフィアの大物ベンジャミン・シーゲルの他に、ラスヴェガスに自分の″王国″を築こうとした(いい線まで行ったがあと一歩届かなかった)ハワード・ヒューズ(1905〜1976)、お客様が何度も来たいと思う「究極のリゾート」(Destination Resort)の経営精神の体現者であるスティーブ・ウィン(1942〜)である。

 そして、彼らがラスヴェガスに与えた功績を、彼らの歩んだ人生と共に紹介される。3人とも、平凡な日常生活を送っている一般人からすれば、「すごい奴」というより「とんでもない奴」である。彼らの人間的な魅力(あるいは冷酷さ)もまた、本書をより読みごたえがあるものにしている。

 ところで、私からすれば、筆者である谷岡一郎もまた、仕事と趣味が共にギャンブルという、いい意味で「とんでもない奴」である。本書のあとがきで告白していることだが、谷岡はすでにラスヴェガスに軽く100回以上行っている。しかも初めてラスヴェガスでギャンブルを楽しんだのは19歳の時(本当は21歳以上でないといけない)だそうだ。もうメチャクチャである。
 
ラスヴェガスの歴史がわかる。

この本はラスヴェガスの町に、カジノができてから、現在の「究極のリゾート」とよばれる町になっていく様子を、3人の主要人物の功績、生い立ちなどを紹介しながら描かれている。映画「バグジー」の主人公、ベンジャミン・シーゲルの活躍したマフィアの時代、ラスヴェガスをリゾート地に変えていったハワード・ヒューズ、「究極のリゾート」を作るスティーブ・ウィンの活躍を順を追って描いており、何よりラスヴェガスの魅力がわかる一冊になっている。ラスヴェガスの旅行ガイドを読むより、魅力にひきつけられ、一度行きたくなるものである。



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