ラ・ロシュフーコー公爵傳説 (集英社文庫)



ラ・ロシュフーコー公爵傳説 (集英社文庫)
ラ・ロシュフーコー公爵傳説 (集英社文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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題名買いして、、、

堀田作品は初めて。ヨーロッパ、しかも中世以前を題材にした作品を日本人が描くことに今まで抵抗があって、堀田や塩野をはじめとした作家たちを避けていた。これぞ食わず嫌い。

フランソワ・ド・ラ・ロシュフーコー。名前に魅かれた。

で、「太陽も死もじっと見つめることは出来ない」「友を疑うのは友に欺かれるのよりも恥ずかしいことだ」「知は情にいつも騙される」などの『マキシム(箴言集)』を著した公爵の波瀾万丈の人生を一人称と三人称を複雑に(自在に)使い分けながら描いた伝記。公爵の残した自叙伝そのまま、というのでなくかなり堀田の創作なところがあるらしいが、完成度が高くどこまでがフィクションかは不明である。500ページを越える大著。

16世紀から17世紀、おもにアンリ4世からルイ13世・14世(太陽王)の宮廷・政治に深く関わった人物なので歴史ものとしても読みごたえ十分。フランス史に疎い小生でも楽しめた。
マキシム(箴言集)著者に迫る評伝

 彼は、17世紀フランスの、激しく渦巻く時代や社会の動きを、じかに、全身に体験した。これといった文学的教養もなかったが、逆に、人間の本質を、何の飾りもなく直視することができた。プロテスタント側の武人貴族という立場を貫き、外国との戦いばかりでなく、国内での戦いにも加わり、何度も傷を負っている。宮廷内での対立、投獄、亡命という波瀾万丈の武人としての前半生があった。それから身を引き、文人として稀有の才能を発揮する後半生で花開く。作家堀田善衛は、ラ・ロシュフーコー、このモラリストを一人称として、回想録風自伝仕立ての「伝説」という小説に描きあげている。特に、マキシムの生まれる精神風景に焦点が当てられている。我々はここに多くの手厳しい教訓を汲み取ることができる。

〈太陽も死もじっと見詰めることは出来ない。〉(M26)

 というマキシムが、本など読んだこともない人にまで浸透しようとは、私も思い及ばなかった。それともう一つ、

〈友を疑うのは友に欺かれるよりも恥しいことだ。〉(M84)

 というマキシムが、これはコンデ公を指したものだろう、というまったく意外な解釈をされたということにも驚かされた。

 我々の関心深い『箴言集』の拠って来たる精神風土にまで思いをいたした本書は、多くの人々によってじっくり読まれるべき書であろう(雅)



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